北海道フードバンクネットワーク加盟団体9団体による子育て世帯アンケート実施
2024年の秋から冬にかけて、北海道内のフードバンクから食品を受け取る子育て世帯の生活実態について、アンケート調査と分析を実施しました。
目的:北海道で子育てを行いフードバンクから食品を受け取りする世帯の生活実態を調査し、近年の物価高とコロナ不況の家計への影響について数値的に集計するため
内容:北海道フードバンクネットワークに加盟する9団体において、合計15回の食品パントリーの実施により、子ども1338人・750世帯へ食品を配布した。この時、同時に共通のアンケートチラシを配布し、参加者の50%(378件)の回答があった。
実施期間:2024年10月から12月
対象:北海道内のフードバンクが実施した食品配布会に参加した「子ども(未成年)を扶養する世帯」
助成:令和6年度こども家庭庁「ひとり親家庭等の子どもの食事等支援事業」
(中間支援団体 NPO法人POPOLO)
子育て世帯でありながら、世帯年収は全国平均との比較を行うと全国(中央値)が405万円のところ、アンケート(中央値)225万円であった。全国平均に単身世帯も含むことから、大変厳しい状況が見て取れた。
今回のアンケートで一番際立ったのは、その貯蓄額でした。全国(中央値)が1091万円のところ、アンケート(中央値)が10万円で、貯蓄なしと回答した世帯も多くあった。そのため、家計に余裕がなく、突発的な支出や進級・進学の支出があると途端に食品を切りつめる生活となることが分かった。
可処分所得の平均の半額未満で生活する世帯を「相対的貧困」というが、アンケートのうち52%の世帯が相対的貧困であった。
習い事をしていない子どもも多く、習い事は5人に1つ。
世帯年収が低い世帯はコロナ禍に減収・失業した割合が高く、その影響が現在まで色濃く残っていることが分かる。
療機関の受診をがまんしたことがあるかというアンケート
相談機関に相談したいと思う世帯が少ないことが分かる。
普段、相談支援機関でアウトリーチとして用いるための食品提供がフードバンクから行われていることから、子育て世帯にとってもアウトリーチ機能を果たせるかどうかの調査として、「相談につないでほしいか」を聞いた。子育て世帯では上のグラフの通り、ほとんどの世帯で相談を望んでいないことが分かった。
日頃、相談支援機関から繋がれる生活困窮世帯は単身世帯や高齢者・障がい者が多いため、子育て世帯へのアプローチはまた違った形としてフードバンクの役割を認識する必要があるという結果となった。
<アンケート回答者の中央値から描いた人物像 (ペルソナ)>
45歳シングルマザー こども2人
会社員として働き、年収手取りは約230万円で、貯蓄10万円程度。一人ひと月6万円で食費/学費/医療費など生活費を賄う必要があり経済的な余裕はない。
親は一日2食が普通で、コロナ時に減収し、失業した知人もいる。家計に余裕なく、体調不良でも医師にかからないことがある。冷暖房はいつも節約しており、夏は暑いし冬は寒い。
衣服に充分にはない状況。子どものため学用品はなるべく購入するが、子どもに習い事させる余裕はない。子どものおやつは週に1・2度購入する程度。
生活の厳しさを日々感じているが、どこかに相談して支援を求めたいとは考えていない。
<今回の食品配布を実施したフードバンク9団体>
・NPO法人フードバンクイコロさっぽろ(札幌市)
・一般社団法人フードバンクセンター(札幌市)
・フードバンク富良野(富良野市)
・ワーカーズコープ釧路地域福祉事業所フードバンクくしろ(釧路市)
・NPO法人シャローム(石狩市)
・認定NPO法人まちづくりスポット恵み野(恵庭市)
・フードバンクとまこまい(苫小牧市)
・フードバンク道南協議会(函館市)
・一般財団法人北海道国際交流センター(函館市)
<アンケート>
アンケート作成:NPOインターンシップ生(札幌開成高等学校)
アンケート集計と分析:プロボノ井澤さん
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